自分の口臭に気づかない日本人
2019.04.03
多くの日本人は、科学的には半数位の人に口臭があると言われていますが自分の口臭に気付いている人はどれ位いるでしょうか?実は約15%しか「自分の口臭」に気づいていません(平成11年保健福祉動向調査)。若い女性では、少し増えて19%。ところが、他人の口臭が気になる女性は一挙に50%近くに増えます。この理由は自分で自分の口臭を嗅いでいるため「臭い順応」といって臭いに慣れ、臭いが判らなくなるためです。このことは、他人の口臭は気になるのに「自分の口臭」には気づかない人が多く、知らないうちに他人に不快な思いを抱かせているかもしれません。
*口臭の種類
1,生理的口臭
誰にでもある臭いで起床直後、空腹時、緊張時などは口臭は強まります。これは、唾液の分泌が減少し、細菌が増殖して口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)が作られるためです。対処法は歯磨きや食事をしたり水分を補給することで口臭は弱まります。したがって、治療の必要はありません。
2,飲食物、嗜好品による口臭
ニンニク、ネギ、酒、たばこによるもので治療の必要はありません。
3,病的口臭
病的口臭の90%以上は口の中に原因があり、歯周病、虫歯、歯垢、歯石、舌苔(舌の上の白い苔のようなもの)、唾液の減少、劣化したプラスチックの人工歯、被せた金属の腐食、口腔がん、などがあります。その中でも、口臭物質VSCの約6割は舌苔や舌乳頭(舌表面の短い微小な突起)の間隙に生息するばい菌が原因で口臭は起こります。舌の表面には、口の粘膜から脱落した上皮細胞が溜まり、この細胞には細菌が付着し細胞を分解しながらVSCを産生します。歯周病があると、白血球も溜まるようになり強い口臭源となります。
また、口の中以外では副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎などやその他呼吸器系、消化器系の病気でも口臭が発生することがあります。
4,ストレスによる口臭
ストレスにより唾液の分泌量が少なくなって口臭が発生します。
5,心理的口臭
口臭がないのに「ある」と思い込んでいる患者さんがいます。口臭がないといくら説明してもあると思ってしまう病気は「口臭恐怖症」といいます。
*口臭治療
病的口臭の90%以上は口の中に原因があり、まずは歯周病や虫歯の治療を歯科医院で
しっかり行い、劣化したプラスチックの詰め物や金属の腐食がないかどうかチェックすることも大切です。また、舌苔が溜まった時は舌ブラシなどで清掃するのもよいでしょう。さらに歯垢や歯石を毎日のブラッシングや歯科医院での定期的なメンテナンスでしっかり清掃することも重要です。
ちなみに、ニューヨークでは、約80%の人が3ヶ月~1年に一回歯科医院でのメンテナンスを受けており関心の高さが窺えます。また、北米では、お口の管理が出来ないひとは自己管理能力が低いとみなされ就職などに影響するそうですよ。 ←舌苔