南千住のリバーハープタワー歯科(歯医者)です。一般、矯正、インプラント、歯周病治療、小児、予防等の歯科治療を行っています。

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歯科に関する豆知識

歯周病と早産・低体重児出産

2019.08.28

世界保健機構(WHO)および厚生労働省では、早産は妊娠24週以降37週未満での出産、低体重児出産は体重2500g未満での出産と定義されています。早産児は低体重児であることが多く、出産後の身体的・精神的な発達の遅延あるいは障害を併発する要因の一つとされています。さて、その早産・低体重児出産の原因としては、感染による絨毛羊膜炎などの炎症性疾患や危険因子としての年齢、アルコール、喫煙、人種などが考えられていますが、近年歯周病と早産・低体重児出産とのかかわりが注目されています。

歯周病との関連性について、アメリカの学者(Offenbacher)は歯周病を有する初産妊婦の場合、早産・低体重児出産に対する危険率が7.9倍と有意に高かったことを1996年に初めて報告し、その後世界各国で歯周病との関連性について報告されています。また、歯周病の治療が早産・低体重児出産への効果については、2002年にLopezが歯周病の治療を行わなかった妊婦における早産・低体重児出産の出生率は10.11%であったのに対し、歯周病治療を行った妊婦では1.84%と低く、歯周病の治療が早産・低体重児出産のリスクに対して効果的であったと報告しています。

 

歯周病と早産・低体重児出産との関わりに関するメカニズム

1、分娩のメカニズム

分娩のメカニズムの詳細はいまだ解明されていませんが、いくつかの炎症性物質が関与していると考えられています。妊娠後期になるとホルモンバランスの変化などにより妊娠維持機構が後退し、炎症性物質が産生され、頸管熟化と子宮

収縮が引き起こされて分娩に至ると考えられています。

 

2,歯周病の関与メカニズム

歯周病は慢性炎症性疾患であり、歯周病局所では炎症性物質が増え、この炎症性物質は分娩に関わる物質と共通のものも多いため、歯周病の妊婦は分娩の後期に至る前に、血行を介して産科器官で炎症性物質が早期に上昇する影響で正常な分娩時期の前に頸管熟化と子宮収縮がおこり、早産になると考えられています。

 

歯周病に罹患している妊婦さんは早産・低体重児出産のリスクが高まり、適切な歯周病の治療によってそれが予防できる可能性があります。妊娠期の口腔ケアはそういう意味でも重要です。

参考文献 ザ・ペリオドントロジー