入れ歯の洗浄剤について
2020.03.17
普段入れ歯を使用している方々へ…入れ歯洗浄剤で見えない細菌を殺菌しないと、入れ歯やお口の中にカビ(カンジダ菌)が発生したり、残っている歯が虫歯になりやすかったり歯周病が進行しやすくなったりと、身体に悪い影響を与えたりします。歯科医院でしか購入できないものもありますが、多くのものはドラッグストアやスーパーマーケットで購入できます。使用にあたっては次のことに注意してください。
・義歯洗浄剤を使用する前に、食べかすや義歯安定剤など、義歯についた汚れをブラシで落とします。この際、歯磨き粉を使うのはやめましょう。義歯に細かい傷がついてしまい、かえって汚れがつきやすくなってしまいます。流水下、もしくは汚れがどうしても気になる場合は中性洗剤で十分です。
・取扱い説明書があれば読んで、使用する時間や頻度等の使用上の注意事項をしっかり確認しましょう。義歯専用ケースもしくは深めのコップに水を注ぎ、義歯洗浄剤をいれます。その中に入れ歯が完全に浸かるように入れて置きましょう。多くのものは1時間以上置く必要があります。毎晩寝る前に洗浄剤に入れて、翌朝に取り出すと良いでしょう。
・入れ歯に歯石が付いてしまったら歯科医院で歯石を落としてもらいましょう。入れ歯にも歯石がつきます。定期的に歯科医院でチェックしてもらい、入れ歯の状態を確認してもらうのが一番です。
義歯洗浄剤の分類
① 過酸化物系義歯洗浄剤
過酸化物系義歯洗浄剤はもっとも広く応用されており、発泡機構の違いから、酸素ガスを発生するアルカリ性タイプと炭酸ガスを発生する中性タイプがあります。
② 酸系義歯洗浄剤
酸系義歯洗浄剤は、義歯についた歯垢や着色ならびに歯石の除去には効果的です。
③ 酵素系義歯洗浄剤
酵素系義歯洗浄剤は、洗浄目的によって配合される酵素が異なります。頑固な汚れやヤニ、歯石の除去には効果はありませんが、義歯の材料であるレジンや金属に対する為害作用はないものです。
④ 生薬系義歯洗浄剤
生薬系義歯洗浄剤は古くから食品や民間薬として応用されてきた生薬の生理活性作用を利用したもので、特に義歯洗浄剤の場合には抗菌作用ならびに脱臭作用を示す生薬成分としてプロポリスやブラボノイドが配合され、製品となっています。
市販されている、代表的な義歯洗浄剤(商品名)
① ポリデント
ポリデントはイギリス・ロンドンを本拠地に展開しているグローバル製薬企業グラクソ・スミスクラインの商品。部分入れ歯用ポリデント、臭いを防ぐポリデントやスモーカーポリデントなどとにかく種類が豊富に用意されているのが特徴。酵素入りポリデントタンパク質分解酵素を配合。除菌率99.9%の中性の洗浄剤です。酵素を用いた洗浄剤はタンパク質である食べカスなどの分解や脱臭に効果的。その反面、漂白などの効果はあまり期待できないという特徴があります。
② タフデント
小林製薬が販売している入れ歯洗浄剤タフデントにも酵素系漂白剤が用いられています。中性、除菌率99.9%。除菌活性化成分を配合し、臭いの原因菌を除去する効果があります。また、タフデントは高発泡洗浄を用い、頑固な汚れを浮かせて落とす効果にも優れています。ただし、入れ歯が変色変形する恐れがあるので、殺菌などの目的で60℃以上の熱湯で洗浄することのないように呼びかけられています。40~50℃のぬるま湯での使用を推奨しています。
③ パーシャルデント
こちらも小林製薬が販売している入れ歯洗浄剤。酵素系ですが天然の消臭成分であるフラボノイドに加え、漂白作用での入れ歯の洗浄と消臭に期待されています。配合されている洗浄成分も4種類と多いのが特徴。頑固な汚れを除去するのに役立ちます。弱アルカリ性で、総入れ歯と部分入れ歯の両方に使えますが、特に部分入れ歯に優しい洗浄剤です。使用上の注意には、金属を用いた入れ歯を洗浄した際に万一変色のあった場合は使用を中止するよう記載されています。