「口が開きづらい」「顎が痛い」は顎関節症かも?!
2019.11.19
普段私たちは、何気なく食事をしたり会話をしたりしていますが、みなさんはそんな動作の際 耳の前が痛く感じたり口が開きずらかったりあるいは顎の関節で「カクン」といった音が鳴ったりしたことはないでしょうか?そんな症状があればそれは顎関節症かもしれません。
顎関節症といっても病態がいろいろあり、以下の通り大きく分けて筋肉性のものと関節性のものがあります。また、関節性のものはさらに3つに分類されています。(日本顎関節学会の病態分類2013年)
顎関節症の分類
1.筋肉性のもの
咀嚼筋障害(Ⅰ型)myalgia of the masticatory muscle
咀嚼筋活動の異常により生じる筋や筋膜の代謝異常が原因で筋の緊張が起こり顎を動かした際に咀嚼筋の疼痛を感じるもの。いわゆる筋肉痛。
2.関節性のもの
顎関節痛障害(Ⅱ型)arthralgia of the temporomandibular joint
顎関節周囲の靱帯や軟組織が炎症を起こし、顎を動かした際に痛みを感じるもの。顎のねんざ。
顎関節円板障害(Ⅲ型)temporomandibular joint disc derangement
顎関節内には関節円板というクッションの役目をする軟骨があり、その軟骨が従来の位置から前方や側方または後方に転位してしまうことで「カクン」という音や開口障害が起こったりするもの。
変形性顎関節症(Ⅳ型)osteoarthrosis
顎関節の骨の部分に変形がみられるもので、症状は上記の3パターンと同じような症状である。
以上が顎関節症の特徴的な病態なのですが、同じ症状でも頭蓋内疾患や歯や歯周疾患、耳疾患、咽頭疾患、顎骨疾患、筋ジストロフィー、神経系の疾患、頭痛、精神疾患、など他の疾患である場合もあるので注意が必要です。
顎関節症の原因
これらの症状は口を大きく開け過ぎたり、堅い物を噛んだり、噛みしめの癖、不正咬合、あるいは頭部牽引などによっても引き起こされます。また、精神的緊張やストレスなども関係しておりこれらの原因が複数絡み合って起こると考えられます。
顎関節症の治療
1.生活指導 頬づえ、うつぶせ寝、大開口、堅い物の摂取、患側での咀嚼、首牽引療法、かみしめの禁止を促す。
2.薬物療法 痛みがある場合は、消炎鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬ロキソニンなど)を服用。
3.スプリント療法 歯形を採ってマウスピースを作製し、夜間に装着する。筋肉の緊張をとるためや顎関節の緩圧、かみ合 わせの安定化をはかるために使用する。
4.円盤整位運動療法 関節の音がある場合に行う。
5.顎関節可動化訓練 関節円板後部組織の伸展による開口域増大を目的とする顎運動訓練。
6.マニピュレーション法 関節円板がひっかかり口が開かない際行う。
7.関節穿刺法 関節腔に麻酔、洗浄、薬物注入し転位した関節円板の復位の補助とする方法。
8.心身医学的療法
9.外科的手術 手術以外の方法を3~6ヶ月行っても良くならない場合が適応であるが症例としては少ない。
7~9の治療法が必要な場合については大学病院の顎関節外来を紹介いたします。
参考文献 口腔外科学 第3版 医歯薬出版