歯周病から心筋梗塞や糖尿病になるって本当?
2018.11.03
みなさんは、歯周病が心筋梗塞や糖尿病、脳卒中、肺炎、早産といった疾患を引き起こすことをご存じですか?
歯周病は、口の中の細菌が原因で発症します。その細菌は歯磨きを怠ると増殖し歯の周りにネバネバとした物質を作ります。さらにこれが保護剤となり加速度的に細菌が増えていきます。この細菌とネバネバした物質が膜を作り歯の表面に貼りつきます。これがいわゆるバイオフィルムです。
このバイオフィルムからは、エンドトキシンという毒素とプロテアーゼというタンパクを溶かす酵素を分泌します。エンドトキシンは心筋梗塞、脳卒中といった死に至る病気の原因物質です。また、プロテアーゼによって喉や気管、肺の粘膜が常に溶かされ重篤な感染症に罹りやすい状態になっていきます。
さらに歯周病菌は、歯肉の毛細血管から血液中に入ります。このような時ヒトの体はあらゆるサイトカイン(TNF-α等)を分泌して細菌に対抗しようとします。それらのサイトカインはインスリンの働きを阻害して血糖値を上昇させ糖尿病を引き起こします。まさに大げさなお話ではなく口の中の汚れが原因で、命を落とすことがあり得るのです。
また、サイトカイン(TNF-α、IL-1)は子宮に到達すると子宮を刺激して早産を促すと考えられています。歯周病の状態が悪い患者さんは早産の確率が5倍になるという報告があります。
*これらの病気を予防するには?
これらの病気を予防するためには、病気の原因になり得るバイオフィルムを除去することが必要不可欠であると言えます。
*方法は?
毎日の正しいブラッシングは元より、3~4か月に一回程度の歯科医院でのメンテナンスが重要です。毎日のブラッシングでは取り切れないバイオフィルムを歯科医院で徹底的に取り除くことで細菌の数を減らす効果があり心筋梗塞や脳卒中、糖尿病、早産の予防につながります。
また、メンテナンスを3~4か月に一回のペースで行うことをお勧めしているのは一度取り除いたバイオフィルムが新たに形成されるまでの期間から計算されたものです。