痛くない麻酔の話
2019.03.20
歯科治療の中には抜歯や抜髄(神経を取る処置)、歯肉の手術、歯周ポケット内の歯石取りなどの場合、麻酔をしなくてはいけない処置がまあまあ有ります。
そんな時、「麻酔をして治療しますね。」とか「次は麻酔しての治療ですね。」とお伝えすると はじめて当院に来られた患者さんからは「麻酔痛いですよね~。」とか「麻酔が痛いのがいやなのよね~。」といったことをよく言われます。そこで今回は痛みが少ない麻酔の仕方についてのお話をしたいと思います。
まず、歯科の局所麻酔を行う場合痛みを感じるシチュエーションや痛みの種類は以下の4つが考えられます。
1,注射針をさす場所の違いによる痛み。
2,注射針を刺入する際の最初の“ちくっ”とした痛み。
3,麻酔薬を注入する際に粘膜下組織に圧力がかかる際の痛み。
4,患者さん自身の精神状態。特に緊張している場合に痛みを感じやすい。
そこで当院では、これらの4つの麻酔時の痛みの要因に対しての対策を講じています。
まず
1,口腔内は、痛みを感じやすい場所とそうでない場所がありますのでなるべくそうでない場所に刺入するようにします。特に歯肉と頰粘膜の境目は痛みを感じにくいので最初の刺入はそこを目がけます。
2,の針を刺入する際の痛みに対しては、表面麻酔といって麻酔薬をジェル状にしたものを粘膜にしばらく接触させ、粘膜の表面が痺れたところで針をゆっくりそ~と刺入します。その際は、粘膜が弛んでいる状態の所に刺入するとこれまた痛みを感じやすいので、刺入部位の粘膜に張りを持たせるようにほっぺたの内側を指で少しひっぱりながら、針を刺すというよりは針に粘膜を被せるといった感じで行います。こうすることで刺入時の痛みはかなり軽減されます。
3,次に麻酔薬を注入するときは、急激に行うと痛みが強いですので極力ゆっくりと時間をかけて注入していきます。この時点で麻酔が効き始めていますので痛みを感じることは極めて少なくなります。
4,患者さんは皆さん多かれ少なかれ緊張して来院されますので、少しでも緊張がほぐれるようにお声がけをしながら、リラックスしていただけるよう努めております。
これらの工夫をすることで、当院では麻酔が痛いといわれる患者さんは極めて少ないのですが、個々の感受性や粘膜の条件によってはまれに多少の痛みを感じる場合がありますのであらかじめご了承下さい。ただし、激痛を感じられる患者さんは皆無ですのでご安心ください。