神経を取ったはずなのに歯が痛い?
2019.03.06
虫歯に侵されて、歯が強く痛んだり冷たいものや熱いものがひどくしみたりした時、やむをえず歯の中の神経を取ることがあります。通常はこの処置で痛みから解放されるのですが、まれに何年かした後、歯に痛みが出ることがあります。(正しくは歯肉や骨の痛みなのですが。)この原因は、処置後何年か経過した後に歯の中の神経の管が汚れて細菌が繁殖し歯肉や骨が炎症を起こしたり(根尖性歯周炎)、神経を取ったことで歯の質がもろくなり歯の根や頭の部分が割れてしまう事(歯牙破折)があるためと考えられます。
症状としては、しみるといった症状はなく、何もしなくても痛かったり、咬んだ時に痛んだりします。また、歯肉の腫れを伴うことが多いです。
神経を取る前の水などがしみる痛みの場合は自分で痛い歯を特定しずらいのですが、神経を取った後の痛みは比較的ご自身で特定し易いのが特徴です。
治療は、根尖性歯周炎の場合は投薬や根の中の清掃と消毒を行い防腐剤を詰めます(根管治療)。ちなみに根尖性歯周炎などの細菌感染は細菌の全身への影響が糖尿病や心疾患などをひきおこす原因のひとつであることが明らかになっております。
また、歯牙破折の場合は、小さな破折の場合その破折片を取り除き詰め物や被せ物などをすることで機能を回復します。ただ、破折が歯根の大部分に及ぶよう場合は、やむを得ず抜歯を選択することがあります。
このように歯にとって神経を取ることは、けっして良いことではありません。当院では深い虫歯になる前に定期的な歯科検診を受け、普段歯ブラシが届かないところの清掃(メンテナンス)を定期的(3ヶ月~6ヶ月に一回)に歯科医院で行うことをお勧めしております。
一昔前には、歯科医院は虫歯になってからその治療をするために通うところでしたが、現在では虫歯や歯周病になる前に、ひいては糖尿病など全身疾患の予防のために通う所と変わってきています。症状はなくても、ぜひ一度歯科を受診してみてはいかがでしょうか。