要介護にならないためには歯の健康を!
2020.12.16
健康で生き生きした生活を、なるべく長く送りたいと思われる方は多いと思います。そのために日々運動をしたり、食事を気をつけたり、しかし歯の健康が長生きや将来の要介護時期を遅らせる要因になることはあまり知られていません。
最近、厚労省や医師会、歯科医師会などの団体で健康寿命を延ばす取り組みが行われています。その一環として「オーラルフレイル」という言葉が言われるようになってきました。この概念は、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授や飯島勝矢教授などによる大規模健康調査等の厚生労働学研究によって示されました。
「オーラル」はお口、「フレイル」は心身機能の衰えのことで介護状態の一歩手前の状態です。また、フレイルは適切な介入で介護状態を免れることができる状態とも言えます。この心身機能の衰え、いわゆる身体フレイルの前段階に、お口の機能の軽微な衰えが生じることが多くこれを「オーラルフレイル」と呼んでいます。
症状は、筋肉や活力の衰えによって下記のようなものがありますので該当しないかチェックしてみてください。
オーラルフレイルチェック
❐ 堅い物が食べにくい
❐ 汁物でむせる
❐ 口の乾燥が気になる
❐ 薬が飲み込みにくい
❐ 話す時に舌が引っかかる
❐ 口臭が気になる
❐ 食事にかかる時間が長くなった
❐ 薄味がわかりにくくなった
❐ 食べこぼしがある
❐ 食後にに口の中に食べ物が残りやすい
❐ 自分の歯または入れ歯で左右の奥歯をしっかり噛みしめられない
では、このオーラルフレイルから、どのようにして介護状態に移行していくのでしょうか?
大方の流れはこうです。
むし歯や歯周病の放置
↓
歯の喪失
↓
噛む力など口腔機能の低下
↓
食べ物の制限
↓
栄養状態の悪化
↓
身体・精神機能の低下や気力・体力の低下
↓
生命・生活の質の低下
という流れで進み、やがて介護状態に移行していきます。
ちなみに、2017年、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野での研究で、65歳以上の高齢者で歯が20本以上残っている人は、0本の人と比べて寿命が長いだけではなく、健康寿命が長く、要介護期間も短いことがわかっています。
このように、お口の健康は、心身ともに長く健康でいるためにはとても重要な要素であることがわかります。そして、お口の健康を保つためには治療も大切ですがまず第一の秘訣は毎日のブラッシングや歯科医院でのメンテナンスといった予防だと考えられます。
当院では、3~4ヶ月に一度の定期的なメンテナンスをお勧めしています。将来の人生のQOLの向上のためにも考えてみられてはいかがでしょうか。