あなどれない唾液の働き!
2023.04.09
普段私たちは、何気なく食事をしていますが、実はその際、唾液が大きな働きをしていることをご存じでしょうか?今回は普段あまり意識することがない唾液について少しお話したいと思います。
唾液の成分は、99.5%を水分が占めており、水として細菌や食物を洗い流したり、食べやすくしたり、粘膜を濡らして傷をつけにくくする作用などがあります。もしこの唾液が無かったらどうでしょう、パサパサのクッキーやお煎餅などはとても飲み込みにくいことが想像できますね。唾液が食べ物をコーティングすることでスムーズに飲み込めるわけです。また、唾液を飲み込むことによって口の中を洗い流す作用があります。嚥下をすることできれいな唾液が新たに分泌され、汚れた唾液は食道に流れていきます。人は1分間に2回ほど唾液を飲み込んでいるので、1日では相当数の洗浄が行われていることになります。さらに、味を感じるのも唾液の働きがあってこそです。舌には味蕾という器官があり、ここで味を感じます。しかし、味蕾に食べ物が触れただけでは味を感じることは無く、味物質が唾液に溶けて初めて味蕾に運ばれ味を感じるようになっています。
これらが唾液の水としての働きです。
次に、唾液の0.5%に相当する機能性の高い成分についてです。
*粘膜や歯の保護作用 主な成分:ムチン
粘膜や歯の表面を覆い細菌やウイルスなどの侵入を防ぎます。
*抗菌・免疫作用 主な成分:IgA、リゾチーム、ラクトフェリン、抗菌ペプチド、
ペルオキシダーゼ
さまざまな抗菌物質によって、細菌の増殖を抑制します。
*緩衝作用 主な成分:炭酸水素イオン(HCO3-)
酸性になった口腔内を中性に戻します。
*歯の再石灰化作用 主な成分:カルシウム、リン
脱灰や溶解を防ぎ、失われたカルシウムやリンを補い、再石灰化させます。
*細胞を活性化する作用(成長因子)主な成分:EGF、NGF、FGF、VEGF
*消化作用 主な成分:アミラーゼ
ブドウ糖を分解し、消化します。
さて、このように様々な働きをしている唾液ですが、唾液が減るとどういう事がおきるでしょうか?
・自浄作用が低下する。
唾液の作用が欠けることで、う蝕、歯周病、味覚異常、口腔乾燥(ドライマウス)がおき、細菌が増殖しひいては、全身に影響を及ぼすこともあります。
・ QOLが低下する。
舌がヒリヒリするなどの不快感に加え、味がわかりにくくなるため、食べる楽しみが激減し、飲み込みや会話などの日常生活に大きく影響します。
そのため、唾液が必要量あることはとても重要です。
最後に唾液の量を増やすための唾液腺マッサージや舌の運動の仕方をご紹介します。実践してみてください。
参考文献 歯科衛生士 3 2023 vol.47